数学

数学パズル(覆面算)

今日は覆面算と呼ばれる、数学パズルの一例を取り上げます。高校入試にもよく出題されており、今回の記事の最後に、実際に入試で出題された問題をいくつかご紹介いたします。

SEND MORE MONEY(金をくれ)問題

【問題】次の筆算で、各文字には異なる0~9の数字が入ります。各文字に入る数字を解答しなさい。

$$
\begin{array}{rr}
& SEND\\
+\big{)}& MORE\\
\hline
&MONEY
\end{array}
$$

という問題です。ぜひ、一度自分で考えてみてください。

では、ここから解答です。

まず、この筆算は4桁+4桁=5桁の筆算です。よって、$$M \geq 1$$(≥は≧と同じ意味です。)また、仮に4桁すべての数字が9であったとしても、

$$
\begin{array}{rr}
& 9999\\
+\big{)}& 9999\\
\hline
&19998
\end{array}
$$

となります。上の例の場合、4桁すべて9に相当する同じ文字で表されている必要がありますが、実際にはそうではないので、$$ SEND < 9999, MORE < 9999 $$となります。いずれにしても、Mが2以上になることはあり得ません。したがって、$$ M = 1 $$

$$
\begin{array}{rr}
& SEND\\
+\big{)}& 1ORE\\
\hline
&1ONEY
\end{array}
$$

次に、SとOについて考えます。Sは1を加えて、あるいは、繰り上がってきた1をさらに加えて2桁になる数、よってSは8または9。ここで考えられる2桁の数は、$$ 8(S) + 1 + 1 = 10 \\ 9(S) + 1 = 10 \\ 9(S) + 1 + 1 = 11$$より、10または11ですが、11ではMとOが同じ数になるので、10しかありえません。 したがって、$$ O = 0 $$

$$
\begin{array}{rr}
& SEND\\
+\big{)}& 10RE\\
\hline
&10NEY
\end{array}
$$

次に、SとEですが、Eは0を加えてNと文字が変わっているので、前の位から繰り上がりを受けて、さらに1足されている必要があります。つまり、$$ E + 0(O) + 1 = N$$または$$ E + 0(O) + 1 = 10 + N$$となっている必要があります。2つ目の場合、1足されて10以上となりますが、この場合、あてはまるEは9のみです。しかし、$$ 9(E) + 0(O) + 1 = 10 + 0(N) $$となり、NとOがどちらも0となるので、成り立ちません。

したがって、Eと0と1を足して、10を超えることはないので、先ほどのSについては、前の位からの繰り上がり無しで、Sに1を加えるのみで2桁となる、$$ 9(S) + 1 = 10 $$の場合のみ成立することとなります。よって、$$ S = 9 $$また、$$ E + 1 = N $$

$$
\begin{array}{rr}
& 9END\\
+\big{)}& 10RE\\
\hline
&10NEY
\end{array}
$$

ここで、Eは0,1,9ではないから、$$ 2 \leq E \leq 8 $$N+Rは、2桁でなくてはならない、また前の位からの繰り上がりの可能性もあるから、$$ 11 \leq N+R \leq 18$$N,Rは8以下なので最大は7と8を選んだ場合の15。したがって、$$ 11 \leq N+R \leq 15$$

①N+Rが前の位から繰り上がりを受けない場合

$$ N+R = 10 + E$$また、前述の$$ E+1 = N $$より、$$ E+R+1 = 10 + E \\ (変形して)R = 9 $$ところが、SとRが同じ数になってしまうため、これは成り立ちません。

②N+Rが前の位から繰り上がりを受ける場合

$$ N+R+1 = 10 + E$$また、前述の$$ E+1 = N $$より、$$ E+R+2 = 10 + E \\ (変形して)R = 8 $$したがって、$$ 11 \leq N+R \leq 15 \\ (すなわち)3 \leq N \leq 7 $$ Eに置き換えると、$$ 2 \leq E \leq 6 $$

$$
\begin{array}{rr}
& 9END\\
+\big{)}& 108E\\
\hline
&10NEY
\end{array}
$$

前述の通り、D+Eは2桁の数でなくてはなりません。

a) E=6の場合

D+Eが2桁になるためには、Dは4,5,7のいずれかですが、4,5の場合、Yがそれぞれ、0,1となり、O,Sと同じ数となってしまうため、不適。よってD=7、Y=3。

b) E=5の場合

D+Eが2桁になるためには、Dは6,7のいずれかです。6の場合、Yが1となり、Sと同じ数となってしまうため、不適。よってD=7、Y=2。

c) E=4の場合

D+Eが2桁になるためには、Dは6,7のいずれかですが、それぞれYが0,1となり、O,Sと同じ数となってしまうため、不適。

d) E=3の場合

D+Eが2桁になるためには、Dは7ですが、Yが0となり、Oと同じ数となってしまうため、不適。

e) E=2の場合

D+Eが2桁になるためには、Dは8ですが、Rと同じ数となってしまうため、不適。

これらから、a)b)より、D=7。

$$
\begin{array}{rr}
& 9EN7\\
+\big{)}& 108E\\
\hline
&10NEY
\end{array}
$$

ここで、E+1=Nなので、a) E=6の場合、実はNもDも7となり不適。したがって、成立するのは、b) E=5の場合のみとなります。

【解答】

$$
\begin{array}{rr}
& 9567\\
+\big{)}& 1085\\
\hline
&10652
\end{array}
$$

数学パズルは、与えられた条件を整理する→実験をする→法則・方針を見つける、という訓練になります。難関高校・大学入試などでよく出題される、難しい整数問題もこのスキルがあれば楽しんで解くことができるでしょう。

最後に、実際に高校入試で出題された問題を以下の通り紹介します。

【問題①】(日大日吉)

$$
\begin{array}{rr}
& A\\ & AA\\ & AAA\\ & AAAA\\ & AAAAA \\ & AAAAAA \\
+\big{)}& AAAAAAA\\
\hline
&ABCABCD
\end{array}
$$

【問題②】(甲陽学院)

$$
\begin{array}{rr}
& ABCD\\
\times \big{)}& 4\\
\hline
&DCBA
\end{array}
$$

【問題③】(名古屋)

$$
\begin{array}{rr}
& 1abcde\\
\times \big{)}& 3\\
\hline
&abcde1
\end{array}
$$

【問題④】(開成)

1)b≧4である理由を述べよ。2)a,b,cを求めよ。

$$
\begin{array}{rr}
& ab3\\
– \big{)}& 2ab\\
\hline
&bca
\end{array}
$$

【問題⑤】(2012算数オリンピック)

問題①~⑤の解答については、外部記事にて解説しています。

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